看護師が患者さんに声かけする時の接遇のコツは?

患者さんへの声かけは、「接遇」の心構えで行うと良いと言われています。接遇とは読んで字のごとく「遇して接する」、つまりもてなす気持ちで接することです。平たく言えば接客スキルですが、患者さんへの問診や処置、コミュニケーションにおいても意識しておきたい、重要なスキルになります。例えば、身近なチェーン店のファミレスで考えてみましょう。ひとしきり食べ終えたまま友人や家族と歓談していると、スタッフが訪れて「食べ終えたものをお下げしてよろしいでしょうか」と一言訊ねてから下げるシーンを、誰しも1度は体験したことがあるのではないでしょうか。何気ない声かけですが、「黙って持っていかない」「聞きながら持っていかない」ことが当たり前に行われています。一言、断りをいれることで、退店を急かしているようには思われず、なおかつ、汚れた皿が乾かないうちに早めに持っていく、さらに客は広く綺麗なテーブルでくつろいで話せるなど、店側にも客側にもメリットがあります。
では、看護の現場ではどうでしょうか。「傷口見せてくださいね」と言いながら布団をめくる、体温を測る際に身体に触りながら「お熱計りますね」と言う等のながら声かけは、忙しい看護師だからこそやってしまいがちですが、患者さんにとっては突然・勝手にやられているという抵抗感や不信感を覚えさせてしまいます。特にまだ入院したばかりで不安がある、信頼関係が築けていない患者さんにとってはより不安が深まる恐れも。接遇を意識して「事前の声かけ」を心掛けることで、円滑なコミュニケーションが望めるでしょう。